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2009年5月

No.0279 無題

「ボス・イン・ザ・スカイ」、京都公演を見た。
見た目は「ブルバ」、中身は「ムーミン」という印象。
上記2作、個人的にはあまり評価高くないけど、
「ボス」はよかった。最近あまりなかった、
リアルヨーロッパという感じで好きです。
中川さんいじりとか、ロックフェスへの憧憬とか。
言葉を換えると内輪向けの話、なのかもしれないけど。
メンバーがそのまま自分の役をやっているような、
私小説的作品でした。

パンフレットでも少し触れられてたんだけど、
現実とファンタジーの距離感について。
日常生活に異界の者が、って設定は
映画などでも、結構頻繁に目にするけど
両者の関係性には、大きく分けて2パターンあると思う。

ひとつは人間側が、化け物の存在を認めてないパターン。
「なんだこいつは!」とか言って逃げまどったりするやつ。
映画だと「ジュラシックパーク」や「プレデター」。
わりと、エイリアンものに多いかな。
チカラの存在が公に認められていないって点では、
「時をかける少女」とかもか。
ヨーロッパだと「火星の倉庫」や「ゴーレム」はこのタイプ。

もうひとつは人間側が化け物の存在を当然視しているパターン。
「ウルトラマン」だとか「仮面ライダー」だとか、
特撮ヒーローものはこれが多いかな。
最近の映画では「崖の上のポニョ」なんかもそう。
魔法の存在が公に認められている、て点では、
「魔女の宅急便」もこっちか。
で、今回の「ボス」もこちらのパターン。

観客側からすれば前者のパターンの方が
設定を把握しやすいと思う。
大半のお客さんはおそらく、
化け物の存在を信じてないわけだし。

以前、後者パターンの「ポニョ」を見に行ったとき、
序盤で少し混乱した。
主人公の男の子が住む環境が、どう見ても現代日本なのに、
子供、大人を問わず皆が普通にポニョを受け入れていたから。
頭が硬いのかも知れないけど、中盤、街があり得ないくらいの
大洪水に見舞われたあたりでやっと
あこれファンタジーありの世界やったんや、と思った。
「魔女の宅急便」はちょっと中世っぽいし外国やし、ってことで
わりとすぐ受け入れられたんだけど、
見せる側からしたら、案外扱いが難しい設定なのかも知れない。

ところが「ボス」は、この点がすんなり理解できた。
現代日本を描いているのにもかかわらず!
しかもこれ、すべて冒頭のワンシチュエーション、
「”ドラゴン”を”ケータイ”で撮って”ブログ”にアップする」で
描き切っちゃってる感じがした。すごいね。

そういえば「ブルバ」も後者パターン。
あれはしょっぱなに状況設定を紙芝居風の映像で見せてたね。
一度に多くの情報を伝えられるって点で、
とてもアリな選択だと思う。

「ボス」は決して大作ではない。
けれども、「あんときあんなん言ってたよなー」という感じで、
のちのち思い返すことが多そうな作品だと思う。
”円形舞台””タワー”なんてワードに大仕掛けを期待しちゃうと
肩すかしを食らうかも知れないけど、
てらいのない”ヨーロッパ流会話劇”を、
ひさびさに、しみじみと味わえる佳作です。

<好きなシーン>
●夕日やロックフェスをみんなで眺めるシーン。
サウダージのエンディングもそうだが、
観客側を大人数で見るマイムに弱い。
円形舞台でさらに臨場感アップ。
サウダージに引き続き、中心は今回も山脇さんだった。
考えてみりゃ本公演復帰作なのよね。
元気そうで本当によかった。

●クリスタル奪取の四方山話を西村さんに語るシーン。
「ムーミン」の怖い話シーンにも通じるものがあった。
「そこに加わりたい!」と思わせる、
なんかものすごいぐっと来る場面でした。

<うーん、な点>
●他のお客さんの動向が気になる。
もうこれは舞台設計上どうしようもないけど、
円形でしかもああいう感じなので、
左右はもちろん対面の観客の動きがよく見えちゃう。
そうするとやっぱり没入感が薄れちゃう。
足場の確認のためか、
暗転中もほのかにライトが点灯しているし…。
ただし、個人的にそういうのが一番目につく席
(ブロックが切り替わる場所)ではあったのだけど。
お客さん全員には当てはまらないかも、なうわごとです。

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